放射線には、いくつかの種類があります。
放射線の種類があるのは、
性質が違うためです。
放射線の種類と、
その性質、特徴などを
わかりやすく
伝えられたらと思います。
放射線の種類
放射線には、
電離放射線と非電離放射線というものがあり、
一般的に放射線とよばれるものは、
電離放射線に当たります。
非電離放射線には、光や、可視光線、紫外線、電波などがあります。
電離放射線には、
エックス線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線、陽子線、重粒子線
などがあります。
名前が違うということは、
それぞれに特徴があるということです。
しかし、
電離放射線には共通の特徴があります。
非電離放射線になくて、電離放射線にあるもの。
それは、電離作用です。
放射線は、ものにぶつかると、
電離という作用を起こします。
電離は、
電子を離す作用と書きますね。
どういうことかというと、
何でも物質は分子の集まりでできていて、
それが細かく分解していくと、
分子になり、
それはさらに原子になります。
原子は、
陽子と中性子というもので構成される原子核と、
その周りを回る電子でできています。
その中身の数で原子の種類が決まりますが、
周りを回っている電子をとばすことができるのが、
電離放射線です。
つまり、
見える光などはこの作用がありません。
これができるのが、
エックス線やアルファ線などの電離放射線です。
電離放射線の種類
一般的に言われる放射線というのは、
本当は電離放射線と呼ぶと説明しましたが、
その種類には、
メジャーなもので、
エックス線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線、陽子線、重粒子線
があり、それぞれに特徴があります。
エックス線
エックス線は、
最初に発見された放射線。
最初はよくわからないからエックス線。
電磁波の一種で、
透過力が高く、
つまり、
放射線の中では、
通り抜けるのがうまいという感じです。
ちょっと難しく言うと、
アルファ線などと比べると、
電離するより、通り抜ける力が強い感じです。
病院でのレントゲン撮影に使われるのがこれで、
通り抜ける力がある分、
エックス線フィルムのような受容装置に届きやすいです。
ですので、撮影に使われます。
逆に、アルファ線は、紙1枚も通り抜けられないといわれているため、
撮影には向かないのです。
エックス線は、透過しやすく、
比較的遠くまで行く分、長距離ランナータイプといえます。
アルファ線
エックス線は、電磁波と呼ばれるエネルギーの流れですが、
アルファ線は、
陽子2個と中性子2個の塊です。
言い換えると、ヘリウム4の原子核です。
これは、
放射線の中では、そこそこ重量級で、
電離作用が強く、
エックス線と比べると、
近くのものに大きなエネルギーを与えて、
短距離でストップします。
どちらかというと、
短距離タイプとか、ラグビー選手のような感じかもしれません。
ベータ線
ベータ線の正体は電子で、
とてつもなく小さい陽子や中性子よりもはるかに小さい粒です。
中距離ランナータイプで、
エックス線よりは、透過力がなく
アルファ線よりは透過力があります。
ガンマ線
ガンマ線は、
物理的性質自体は
エックス線と同じです。
何が違うのかというと、
出所が違います。
出身が違うとでも言いましょうか。
たとえて言うなら、
国産か、輸入物か程度の違いで、
物は一緒みたいな感覚です。
性質が同じなので、
エックス線とガンマ線は、
二つまとめて光子と呼んだりもします。
中性子線
中性子線は、
中性子です。
中性子なので、
何かが中性だとはうすうすわかると思いますが、
電気を持っていないのが中性子です。
電子、陽子、中性子には重さがありますが、
電子に比べて、陽子、中性子は1870倍くらい重く、
陽子の方がわずかに中性子より重いといわれています。
陽子線
陽子は、
陰と陽の陽ですので、
プラスの電気を持っている粒です。
陽子は、ブラッグピークという性質があり、
物体をある程度通りぬけて、10センチほど入ったところで
ストップする。という変わった性質があります。
奥に入ったところの方が線量が高くなるため、
陽子線治療という治療法があります。
エックス線などは、表面近くで線量が多くなり、
奥に入ると線量が減る性質がありますが、
陽子線は、
表面近くではなく、奥のほうにある腫瘍に届き、
表面組織を比較的あまり傷つけずに
腫瘍を攻撃できるため、
陽子線治療という治療法が確立されています。
重粒子線
重粒子線は、
重いとありますが、
陽子と中性子が少し多くて、
陽子や中性子よりも重いです。
こちらも陽子線同様に、
放射線治療という分野で利用されています。