私の過去問を使った勉強法です。
放射線取扱主任者試験で覚えることは、
結局のところ、過去物を解いていけば、
自然と身に付きます。
繰り返し過去問を解くことを優先させてしまった方が良いです。
正答のみをピックアップしたため、
これをさらっと読んだうえで問題を解いてみてください。
間違っていたらすみません。
第1種放射線取扱主任者試験物理1-10
2021物理
2021問1 次の記述のうち、正しいものはどれか。
5 荷電粒子が磁場によって受ける力の大きさは、粒子の速度に比例する。
2021問2 1原子質量単位[u]を質量[kg]で表したとき、最も近い値は次のうちどれか。
1 1.661×10-27
2021問3 2,200 m・s-1の速度を持つ熱中性子の ド・ブロイ波長[m]と して、最も近い値は次のうちどれか。
ただし、プランク定数は6.6×10-34 J・s、中性子の質量は1.7×10-27kgとする。
4 1.8×10-10
2021問4 水素原子の大きさ(直径)に最も近い値は、次のうちどれか。ただし単位はmとする。
4 1.0×1010
2021問5 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 中性子は物質中で直接クーロン力を介した電離を起こさない。
D 軌道電子は原子核近傍にも存在確率がある。
5 CとD
2021問6 放射性壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A α壊変ではニュートリノは放出されない。
C β+壊変が起きる核種では競合してEC壊変が起きる。
2 AとC
2021問7 陽電子に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 陽電子の物質中における阻止能は、陰電子とほぼ同じである。
B 陽電子はエネルギーが低いほど物質中で消滅しやすい。
1 AとB
2021問8 次の線源について、放出割合が最も高いγ線のエネルギーを低い順から並べたとき、正しいものはどれか。
5 241Am < 57Co < 137Cs < 60Co
2021問9 内部転換に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 内部転換は軽い核よりも重い核に多く見られる。
C 内部転換係数は、内部転換電子の放出確率Xとγ線の放出確率Yの比X/Yをいう。
3 BとC
2021問10 次の加速器のうち、陽子の加速に適しているものの組合せはどれか。
A リニアック (直線加速器)
B サイクロトロン
C コッククロフト・ワルトン型加速器
D ファン・デ・グラーフ型加速器
5 ABCDすべて
第1種放射線取扱主任者試験物理11-20
2021問11 図に示す回路を用いて、荷電粒子の加速に用いる高電圧を発生させるとき、C点の電位[V]として最も近い値は次のうちどれか。ただし、A点とB点の間に振幅±200Vの交流電圧を印加し、B点の電位を0Vとする。また、コンデンサ及び整流器は漏れ電流の発生や電圧降下等がないものとする。
4 4,000
2021問12 中性子の核反応に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 1H(n,n)1H反応では、運動エネルギーが保存される。
C 1H(n,γ)2H反応では、放出されるγ線のエネルギーは2.2MeVである。
2 AとC
2021問13 励起状態の 7Li 原子核から 0.48MeV のγ線が放出されるときに原子核が受ける反跳エネルギー[eV]として最も近い値は、次のうちどれか。ただし、反跳前の7Li原子核は静止しているものとする。
2 1.8×10
2021問14 次の核反応のうち、発熱反応であるものの組合せはどれか。
A 2H(d,n)3He
B 3H(d,n)4He
1 AとB
2021問15 制動放射線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 制動放射線のエネルギースペクトルは連続スペクトルである。
C 同じエネルギーの電子と陽子とでは、電子の方が制動放射線を放出しやすい。
2 AとC
2021問16 5.3MeVのα線の空気中の飛程は3.9cmである。このα線のシリコン中での飛程[µm]に最も近い値は次のうちどれか。ただし、空気の密度を1.3×10-3g・cm-3、シリコンの密度を2.8g・cm-3とする。
3 25
2021問17 真空中で鉛の原子核 (原子番号82) に5.0 MeVのα粒子が向かうとき、α粒子がクーロン力に逆らって鉛の原子核に最接近する距離[fm]として最も近い値は次のうちどれか。ここで、真空中の誘電率を8.9×10-12 C2・N-1・m-2とする。
3 48
2021問18 光子と物質との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 100 keVの光子が水に入射したときは、主にコンプトン効果が起こる。
D 10 MeVの光子が鉛に入射したときは、主に電子対生成が起こる。
5 CとD
2021問19 次の光子と物質の相互作用のうち、光子エネルギーのすべてが軌道電子の解放及びその運動エネルギーに消費されるものはどれか。
5 光電効果
2021問20 次の相互作用に関する記述のうち、正しいものはどれか。
4 光電効果では、発生確率は物質の原子番号とともに増大する。
第1種放射線取扱主任者試験物理21-30
2021問21 1.02MeVのγ線が物質でコンプトン効果を起こした場合、散乱光子と反跳電子のエネルギーが同じであった。この場合、散乱角として、最も近い値は次のうちどれか。
3 60°
2021問22 中性子に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 単独では不安定でβ–壊変する。
D 1/2のスピンを持つ。
4 BとD
5
2021問23 2.0 MeVの中性子が陽子 (1H) との弾性衝突で失う平均工ネルギーをA、炭素原子核(12C) との弾性衝突で失う平均エネルギーをBとしたとき、A/Bとして最も近い値は次のうちどれか。
3 3.5
2021問24 次の量と単位の関係のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 線エネルギー付与 m・kg・s-2
B 照射線量 A・kg-1・s
1 AとB
2021問25 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 吸収線量は、放射線の種類を問わず定義される。
D 吸収線量とカーマでは、同じ単位が用いられる。
3 AとD
2021問26 バックグラウンド計数率が140±8min-1の測定器を用いて試料を測定したときの計数率は1,540 min-1であった。試料の正味の計数率を誤差(相対標準偏差)2.0%で測定するために必要な試料の測定時間[min]として最も近い値は、次のうちどれか。
1 2.2
2021問27 中心軸に陽極線がある円筒型比例計数管の特性に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 陽極線の両端付近の電界のゆがみを小さくするために、フィールドチューブを用いる。
D 充填ガスとしてアルゴンを使用するときに、少量のエチレンを加えるとエネルギー分解能が向上する。
5 BとD
2021問28 次の半導体検出器のうち室温で動作するものの組合せはどれか。
A 表面障壁型Si半導体検出器
D CdTe化合物半導体検出器
3 AとD
2021問29 次のシンチレータのうち、一般的な使用状態で自己放射能による計数があるものの組合せはどれか。
LSO(Lu2SiO5:Ce)
D LaBr(LaBr3:Ce)
4 CとD
2021問30 次のシンチレータのうち、137Cs線源からのγ線に対して得られるエネルギー分解能が良好なもの (相対エネルギー分解能の値が小さいもの) から順に並べたものはどれか。
A NaI:Tl
B LaBr(LaBr3:Ce)
C CeBr3
D BGO(Bi4Ge3O12)
1B,C,A,D
B LaBr(LaBr3:Ce)C CeBr3 A NaI:Tl D BGO(Bi4Ge3O12)
第1種放射線取扱主任者試験物理31-32
2021問31 次の文章の□の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを 1つだけ選べ。
放射線物理学は、1895年の( A レントゲン) によるX線の発見に始まり、その発展には線源と しての天然放射性物質が不可欠であった。天然放射性物質 (ウラン塩) は( B ベクレル)によって発見され (1896年)、1898年には( C マリー・キュリー)らによってラジウム及び ( ア ポロニウム)が発見された。天然放射性物質の多くはα線、β線、γ線を放出する。( D ラザフォード)はウラン塩からの放射線には物質に吸収されやすいものと、透過性の強いものの2種類あることを見出し、前者をα線、後者をβ線と呼んだ。β線の実体は( B ベクレル)の行った電荷測定から電子であることは明らかになったが、( E ヴィラ―ル )は、( D ラザフォード)が分類したβ線の中には、磁場に作用されない透過力の極めて強い放射線があることを見出した。( D ラザフォード)はこれをγ線と命名し、後年その波長測定に成功した。また、( F ラザフォード)は、α線を磁場や電場で曲げることがβ線に比べより困難であることや、その質量/電荷比の測定からα線の実体が( イ ヘリウム原子核)であることを見出した。
当時のほとんどの放射線検出器は( ウ 電離作用)を利用していたので、電荷のない中性子の直接検証は困難だった。1930年に( G ボーテ)らはベリリウムにα線を当てると原子核反応により未知の放射線が放出されることを発見し、ベリリウム線と名付けた。この放射線は、電場や磁場を直進し、非常に大きな透過力を持っていたため、( H イレーヌ・キュリー)らはこの放射線をγ線と考えた。この放射線で水素を多く含む物質 (パラフィン) を照射すると、陽子が最大5MeVのエネルギーをもってたたき出されることを( エ 霧箱)を用いて観測し、γ線のエネルギーEを推定した。運動量は光速度をcとして( オ 3)と表される。陽子の質量をMp、衝突後の陽子の運動エネルギーをK、衝突後のγ線の運動量をP1とすると、運動量保存則は オ 3 = カ 14
となる。エネルギー保存則を用いてEを求めると、
E=( キ 8
を得る。陽子との弾性衝突で5.0 MeVのエネルギーを陽子に与えるためには、Eは,( ク 5 53)、MeVとなる。ただし、陽子の質量は1,000MeVに相当するとした。
( I チャドウィック)はこの反応を9Be+α→13( ケ 2 C)+γと考え、原子核の質量からγ線のエネルギーを計算したが、14MeVにしかならず先に見積もられたような大きな値にはならなかった。そこで、ベリリウム線がγ線ではなく、質量mを持つ電気的に中性な粒子であると考え、水素ばかりでなく窒素にも照射して反跳する陽子及び窒素原子核の最大速度を測定した。粒子 (質量m) が速度υで静止している原子核 (質量M) と弾性衝突するとき、反跳された原子核の速度Vは( コ 3 )と表される。窒素原子核の質量は陽子の14倍であるとすると、反跳窒素原子核の最大速度をKN、反跳陽子の最大速度をVpとして、中性粒子の質量mと陽子の質量Mpの比(m/Mp)は、( サ 5 )と表される。( I チャドウィック)は、( エ 霧箱)を用いてこれらの反跳粒子の速度を測定し、ここからm/Mpとしてほぼ1に近い値を得た。こうして、陽子とほぼ等しい質量を持ち電荷を持たない中性子の存在が検証された。すなわち、α線とベリリウムの核反応は中性子をnとして、9Be+α→12 ( ケ 2 C)+nと表されることが分かった。無電荷の中性子はすぐに核構造を調べる新たな手段として使われ、中性子照射による新たな放射性同位元素の生成や中性子による ウランの核分裂などの発見に至った。ウランの同位体235Uが遅い中性子を吸収して起こる核分裂反応235U+n→95Sr+139Xe+2nにおいて、1個のウラン原子核から解放されるエネルギーは( シ 4 3.2×10-11) Jと計算される。ただし、中性子、及びストロンチウム、キセノン、ウランの各原子1個の質量を、それぞれ、1.67×10-27kg、157.60×10-27kg、230.66×10-27kg、390.29×10-27kgとした。核分裂の発見は原子炉や核兵器の製造へとつながった。
2021問32 光子と物質の相互作用に関する次のⅢの文章の□の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを1つだけ選べ。
I 細い線束 (ビーム) の光子が一様で単一の物質に入射した場合、物質との相互作用により光子フルエンスφは減衰する。相互作用の数の期待値は、物質中の標的となる原子数密度Nと入射した光子フルエンスφに比例する。標的原子1個当たりに単位フルエンスの光子が入射したときの相互作用の確率は、( A 3 断面積)σと呼ばれる。このとき、物質中で厚さxを透過した光子フルエンスφの減衰は次式で表される。
-dφ/dx=σNφ
ここで、µ=σN、物質に入射する光子のフルエンスをφ0とすると、φは次式で表される。
φ= ( ア 5 )
µは( B 7 線減弱係数)と呼ばれ、その ( C 12 逆数)に対応する値は光子が物質中を相互作用せずに通過できる距離の期待値である( D 10 平均自由行程)を表す。また、µを密度ρで除したものを( E 8 質量減弱係数)という。
多くの物質では、数百keVから数MeVの光子エネルギー領域で( F 6 コンプトン散乱)が主要な相互作用となる。
( F 6 コンプトン散乱)は入射光子と( G 11 軌道電子)との相互作用であり、このエネルギー領域において、このときのσは物質の原子番号に比例する。一方、物質の密度は原子量Aと原子数密度Nの積であることから、物質の原子番号をZとすると( E 8 質量減弱係数)は、( イ 8 AZ)に比例する。水素を除いて、( イ 8 AZ)は物質の種類によってあまり変化しないことから、( F 6 コンプトン散乱)が主要な相互作用となるエネルギー領域では、( E 8 質量減弱係数)は物質の種類にあまり依存しないことが分かる。
Ⅱ 平行ビームの光子をある物質に照射して透過させたときに、光子の強度を( H 4 1/2)にするのに必要な物質の厚さを半価層(第一半価層)と呼ぶ。例えば、250keVの光子に対する銅の半価層は、表の( E 8 質量減弱係数 )を利用して( ウ 6 6.0 )mmと計算できる。ここで、ビルドアップの影響は無視し、銅の密度は8.96g・cm-3とする。第一半価層を通過した光子の強度をさらにその( H 4 1/2)にするのに必要な物質の厚さを第二半価層と呼び、これらの値はX線の線質を表すために用いられる。
連続エネルギースペクトルを持つX線ビームの場合、第一半価層(HVL1)と第二半価層(HVL2) の関係は、散乱線の寄与を無視すると一般に( エ 6 HVL1<HVL2)となる。これは、第一半価層を透過したX線ビームは、( I 4 低)エネルギー成分の割合が少なくなるためである。第一半価層を第二半価層で除した値を均等度と呼び、X線のエネルギーの均等性を表す指標として用いられる。
連続エネルギースペクトルを持つX線の第一半価層と同じ半価層の値を持つ単色光子のエネルギーを( J 6 実効)エネルギーと呼ぶ。また( J 6 実効)エネルギーE1をX線の最大エネルギーEmaxで除した比E1/Emaxは、X線のエネルギースペクトルを評価するための指標として用いられ、線質指標QIと呼ばれる。
150 kVの高電圧で電子を加速し、タングステンターゲットに照射することによりX線を発生させる装置について考える。銅、スズ及び鉛で構成されたフィルタを透過したX線の銅に対する半価層を測定した結果、2.42mmと評価された。このX線に対する前述の線質指標QIを計算すると( オ 8 0.80)となる。