私の過去問を使った勉強法です。
放射線取扱主任者試験で覚えることは、
結局のところ、過去物を解いていけば、
自然と身に付きます。
繰り返し過去問を解くことを優先させてしまった方が良いです。
正答のみをピックアップしたため、
これをさらっと読んだうえで問題を解いてみてください。
間違っていたらすみません。
第1種放射線取扱主任者試験生物1-10
2019 生物
2019問1 次の標識化合物のうち、陽電子放射断層撮影(PET)診断に用いられるものの組合せはどれか。
A [13N]NH3(アンモニア)
B [15O]CO2(二酸化炭素)
1 AとB
2019問2 γ線の生物作用を利用した応用例と照射されるγ線の吸収線量として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
応用例 吸収線量
A ウリミバエの不妊化 70Gy
B じゃがいもの芽止め 100Gy
C 米の品種改良 300Gy
D 医療用器具の滅菌 500Gy×
1 ABCのみ
2019問3 次の核種のうち体内で主に骨に集積するものの組合せはどれか。
B 90Sr
D 226Ra
5 BとD
2019問4 γ線全身被ばく後の急性放射線障害の初期応答に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 3Gy被ばく2時間後までに、50%以上の発生率で嘔吐がみられる。
B 5Gy被ばく2時間後までに、50%以上の発生率で発熱がみられる。
C 7Gy被ばく4時間後までに、50%以上の発生率で頭痛がみられる。
D 9Gy被ばく1時間後までに、50%以上の発生率で下痢がみられる。
ABCDすべて
2019問5 γ線を全身急性1回被ばく した場合のヒトの障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ただし、特別な治療を行わない場合とする。
B 100 Gy被ばく後の平均生存期間は2日以下である。
C 60日以内に半数が死亡する線量は約4Gyである。
3 BとC
2019問6 唾液腺への局所γ線急性被ばく後 2~3 日間にみられる影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 8Gyの被ばくにより、血清中の唾液腺型アミラーゼ値が上昇することがある。
C 8Gyの被ばくにより、唾液腺の腫脹が生じることがある。
D 8Gyの被ばくにより、唾液腺の痛みが生じることがある。
5 BCDのみ
2019問7 原爆被爆者におけるがんによる死亡の相対リスクおよび過剰相対リスクに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 被爆時年齢、到達年齢、部位によらず、相対リスクと過剰相対リスクの差は一定である。
B 全固形がんの過剰相対リスクは、到達年齢が同じであれば、被爆時年齢が低いほど大きい。
C 全固形がんの過剰相対リスクは、被爆時年齢が同じであれば、到達年齢が低いほど大きい。
1 ABCのみ
2019問8 職業被ばく及び医療被ばく による発がんに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A ウラン鉱夫において、肺がんの増加が見られた。
B ラジウム時計文字盤工において、骨がんの増加が見られた。
C 頭部白癬のX線治療を受けた患者において、甲状腺がんの増加が見られた。
D トリウムを含む造影剤を投与された患者において、肝がんの増加が見られた。
5 ABCDすべて
2019問9 医療診断による被ばく に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 日本における1人当たり、1年当たりの医療診断による被ばくの実効線量は、平均で約4mSvである。
B 体幹部CTによる被ばくの実効線量は、1検査当たり約10 mSvである。
D 乳房X線撮影 (マンモグラフイー) による被ばくの乳腺における吸収線量は、1検査当たり2~3mGyである。
2 ABDのみ
2019問10 預託実効線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 預託実効線量の単位はシーベルトである。
D 確率的影響のリスクを評価するために用いる。
5 BとD
第1種放射線取扱主任者試験生物11-20
2019問11 公衆の1人当たりの年間実効線量に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 世界平均ではラドンとその子孫核種による内部被ばくが自然放射線による被ばくの中で最も多い。
C 日本平均では医療診断による被ばくが自然放射線による被ばくよりも多い。
D 日本平均では食物からの内部被ばくが自然放射線による被ばくの中で最も多い。
4 BCDのみ
2019問12 放射線による直接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A DNAの共有結合の解離によるラジカルの発生がある。
B 乾燥した酵素のX線による不活性化に関与する。
2 ABのみ
2019問13 放射線による間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A ラジカルスカベンジャーにより作用が軽減される。
B 無酸素下よりも酸素存在下で作用は大きくなる。
C 凍結状態にすると作用が軽減される。
1 ABCのみ
2019問14 放射線により細胞に生じる DNA損傷に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C DNA2本鎖切断は発がんの原因となる。
D γ線では単位吸収線量当たりの塩基損傷の数はDNA2本鎖切断の数より多い。
5 CとD
2019問15 ヒト体細胞におけるDNA2本鎖切断の修復及び突然変異に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 非相同末端結合による修復は、相同組換えによる修復よりも誤りを起こしやすい。
D 放射線で誘発される突然変異の中で欠失の占める割合は、自然に起こる突然変異の場合よりも多い。
5 CとD
2019問16 次のうち、単位吸収線量当たり、1細胞当たりのDNA 1本鎖切断の生成数に影響を与えるものの組合せはどれか。
A 温度
B LET
C ラジカルスカベンジャー
D 酸素分圧
5 ABCDすべて
2019問17 体内に取り込まれたある放射性核種について、摂取直後にある臓器に 100 Bqの集積が認められた。この臓器において、集積後から有効半減期よりも十分長い時間にわたる総壊変数 (累積放射能[MBq・s])に最も近い値は、次のうちどれか。ただし、この放射性核種の物理的半減期を30年、この臓器における生物学的半減期を100日とする。また、その間、臓器への新たな集積はなく、臓器重量の増減もないと仮定する。
4 1,200
2019問18 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A アポトーシスを起こす過程では核の断片化が起こる。
D アポトーシスを起こす過程ではグロマチンの凝縮が起きる。
3 AとD
2019問19 染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 二動原体染色体は被ばく線量の推定に使用できる。
B 染色体凝縮を起こしている細胞で観測する。
1 AとB
2019問20 次の照射条件で、正常ヒト線維芽細胞を2Gy照射したときの生存率が高い順に並べられているものはどれか。
A 60Coγ線
B がん治療用炭素線ブラックピーク部
C がん治療用陽子線ブラツグピーク部
D 低酸素下での60Coγ線
4 D >A > C > B
第1種放射線取扱主任者試験生物21-30
2019問21 ヒトの胎内被ばくにより重度知的障害が最も起こりやすい被ばくの時期は、次のうちどれか。
3受精後8週~15週
5×
2019問22 γ線被ばく を受けた眼の水品体の放射線影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 線量が大きくなると放射線白内障の平均的な発症までの期間が短縮する。
B 水晶体混濁のしきい線量は0.5Gyである。
2 ABのみ
2019問23 9.5Gyのγ線被ばくによる肺の障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 被ばくにより50%以上の頻度で放射線肺炎が起こる。
D 被ばく後約6か月以降に肺線維症が起こる。
4 CDのみ
2019問24 137Csγ線局所被ばく による皮膚障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 3Gy被ばくの数時間後に、被ばく部位に軽い痛みを生じることがある。
B 被ばく後48時間以内に見られる紅斑は、毛細血管の拡張により生じる。
C 被ばく後2~3週間後に見られる紅斑は、血管の狭窄により生じる。
1 ABCのみ
2019問 25 放射線による遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 遺伝的リスクの推定に用いられる倍加線量法は間接法とも呼ばれる。
D 倍加線量が小さいほど、遺伝性(的)影響が起こりやすいことを意味する。
4 CDのみ
2019問26 ICRP2007年勧告における確率的影響の名目リスク係数に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ただし、全集団とは被ばく時年齢が0~85歳の集団、成人とは被ばく時年齢が18~64歳の集団とする。
C 全集団のがんの名目リスク係数は、成人のがんの名目リスク係数より大きい。
D 全集団、成人ともに、遺伝性(的)影響の名目リスク係数は、1990年勧告より小さくなっている。
4 CDのみ
2019問27 生殖腺の局所被ばくによる放射線障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 精巣のγ線1回短時間被ばくによる男性の一時的不妊のしきい線量は、0.15Gyである。
C 卵巣が被ばくした後、卵胞刺激ホルモンの一過性の上昇がみられることがある。
3 ACのみ
2019問28 ICRP2007年勧告における放射線加重係数に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A すべてのエネルギーの光子に対して1が与えられている。
B すべてのエネルギーの陽子に対して2が与えられている。
C すべてのエネルギーのアルファ粒子に対して20が与えられている。
D 中性子についてはエネルギーが1 MeVのときに最大となる。
5 ABCDすべて
2019問29 99mTcの医療応用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 99mTcは99Moからのミルキングによって製造する。
D [99mTc]MAA(テクネチウム大凝集人血清アルブミン)は肺シンチグラフイーに用いられる。
3 ADのみ
2019問30 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 熱中性子や熱外中性子を照射する。
C 4Heと7Liが生じる。
D 代表的なホウ素薬剤の1つにアミノ酸誘導体のBPA(p-boronophenylalanine) がある。
3 ACDのみ
第1種放射線取扱主任者試験生物31-32
2019問31 次のI、2の文章の □の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを1つだけ選べ。
I 放射線生物学では細胞の死を 「分裂する能力の喪失」 と定義することがある。この定義による細胞の死をア 増殖死 と呼ぶ。放射線照射により 「分裂する能力を喪失」すると、細胞は0回から数回の分裂後にその後の分裂を停止するのに対し、分裂能を失わないと細胞が分裂を繰り返して1つの細胞由来の細胞集団(コロニー)を形成する。単独の培養細胞は肉眼では見えないが、コロニーを形成すると肉眼で確認できる大きさになる。このようなコロニーを作るかどうかで細包の生死を判定する。放射線照射後の細胞生存率を計算してみよう。照射していない100個の細胞を培養して90 個のコロニーができたとする。このときのコロニー形成率はA 90 %である。同じ細胞 1,000個にX線を2Gy照射した後培養して90個のコロニーができたとすると、2Gy照射での生存率はB 0.10である。放射線の吸収線量をD、生存率をSとすると、多くの培養細胞の線量一生存率曲線は1nS=-αD-βD2で近似できる。αとβの値は、照射条件や細胞の性質に大きく左右される。
照射条件として放射線の線質や照射中の溶存酸素濃度は、細胞生存率に大きな影響を与えることが知られている。線質の効果を定量的に表すためにイ RBEが、酸素の効果を定量的に表すためにウ OERが用いられる。酸素の濃度が 0.5%以下の条件で照射すると大気条件下で照射した場合と比較して生存率はエ 高くなる。正常ヒト線維芽細胞に中性子線を照射した場合、137Cs線源のγ線照射時と比べてα/βの値はオ 大きくなる。このとき ウ OER はカ 小さくなる。
2 高線量率のX線やγ線による全身被ばくでは、線量に応じて様々な組織で障害が起こる。これらの障害の原因となる細胞の放射線感受性は、いくつかの例外はあるもののキ ベルゴニー・トリボンドーの法則としてまとめられている。キ ベルゴニー・トリボンドーの法則では、細胞分裂の頻度が C 高い 細胞ほど、また、形態及び機能においてク 未熟な(未分化の) 細胞ほど放射線感受性が高いとしている。
被ばく直後から数週間以内に起きる急性障害について考えてみよう。例えば、上皮組織内部では、上皮としての機能を担っている細胞 (機能細胞) は、組織幹細胞と比べて放射線感受性はD 低い。機能細胞は有限の寿命をもち、それによる減少分を幹細胞の増殖によって補充することができなくなると急性障害が発症する。そのため腸や皮膚の上皮組織での急性障害では、被ばくから一定数の機能細胞が失われて症状が現れるまでに線量に応じた時間差があることが多い。皮膚の上皮(表皮) 組織の幹細胞はケ 基底層に存在し、小腸上皮の幹細胞はコ クリプト(腺か)に存在する。ヒトの小腸上皮細胞の寿命は約 E 3~7 日であり、この期間に応じて症状が現れる。
2019問32 次のI~3の文章の □ の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを1つだけ選べ。
1 ヒトの代表的な放射線高感受性遺伝病の1つにA 毛細血管拡張性運動失調症がある。この遺伝病はATM遺伝子の変異によって生じ、B 常染色体潜性(劣性) 遺伝様式を示す。この遺伝病の患者の両親が健康な場合、C 父親と母親の両方 が一対のATMの遺伝子のD 一方 に変異を持つ。また、この遺伝病の患者の兄弟姉妹が健康な場合、その兄弟姉妹は E 2/3の確率で一対のATMの遺伝子のD 一方に変異を持つ。
2 次に、A 毛細血管拡張性運動失調症 の患者でATM遺伝子にどのような変異があるかを見てみよう。なお、以下において、タンパク質のアミノ酸の数え方は、タンパク質合成が開始されるコドンに対応するアミノ酸を1個目とし、以下、タンパク質合成が進行する方向に向かって増えるように数えることとする。また、メッセンジャーRNA(mRNA)の塩基の番号は、タンパク質合成が開始されるコドンの1番目の塩基を1番とし、以下、タンパク質合成が進行する方向に向かって増えるように付けることとする。下の表1はコドンとアミノ酸との対応を示したもので、遺伝暗号表あるいはコドン表などと呼ばれる。
表
多数の患者でATM遺伝子の一部あるいは大部分の欠失が見られるが、1個から数個の塩基の変化が見られる場合もある。一例として、ATMタンパク質のmRNAの8,711番目のアデニンがグアニンに置き換わるような変異がある。図1に正常なATMタンパク質のmRNAの8,701番目から8,720番目の塩基配列を示す。ATMタンパク質のア 2,904 個目のアミノ酸は、正常な遺伝子から作られると F グルタミン酸であるが、この変異遺伝子から作られると G グリシン となる。
別の例として、ATMタンパク質のmRNAの7,517番目から7,520番目までの4個の塩基が欠失するような変異がある。図2に正常なATMタンパク質のmRNAの7,511番目から7,530番目の塩基配列を示す。このような変異をH フレームシフト 変異といい、この変異遺伝子からは正常なATMタンパク質より小さいイ 2,507 個のアミノ酸からなるタンパク質が作られる。
3 放射線によって生じるさまざまなDNA損傷の中で,I DNA2本鎖切断 は最も重篤なものと考えられている。正常ヒト二倍体細胞に1Gyのα線を照射すると, 細胞1個当たり約 ウ 40 個のI DNA2本鎖切断 が生じる。ATMタンパク質は, 放射線によって生じた I DNA2本鎖切断 部位にNBS1タンパク質 (ヒト放射線 高感受性遺伝病の 1 つであるナイミ ーヘン染色体不安定性症候群の原因遺伝子から作られるタンパク質) などを介して結合し, p53タンパク質やヒストンH2AXタンパク質など少なく とも数百種類のタンパク質をJ リン酸 化する機能を持っている。p53 タンパク質は特定のDNA配列に結合し, その近傍にある遺伝子群の K 転写 を促進する。これらの遺伝子群から作られる タンパク質群のなかには,細胞周期チェックポイントやアポトーシスに関わるものがある。また,I DNA2本鎖切断 の修復に関わるタンパク質の中には,J リン酸 化されたH2AXタンパク質に直接的あるいは間接的に結合することによって損傷部位に集積するものが多数存在する。このように, ATMタンパク質は I DNA2本鎖切断 に対するさまざまな応答を制御するのに重要な役割を担っており, このことがA 毛細血管拡張性運動失調症 の患者の細胞が放射線高感受性を示す理由である と考えられている。