私の過去問を使った勉強法です。
放射線取扱主任者試験で覚えることは、
結局のところ、過去物を解いていけば、
自然と身に付きます。
繰り返し過去問を解くことを優先させてしまった方が良いです。
正答のみをピックアップしたため、
これをさらっと読んだうえで問題を解いてみてください。
間違っていたらすみません。
第1種放射線取扱主任者試験生物1-10
2018 生物(物化生含む)
2018問1 次の 標識化合物のうち、ガンマカメラによる核医学画像診断に用いられるものの組み合わせはどれか。
B 67Ga クエン酸ガリウム
D 99mTc テクネチウム酸ナトリウム
4 BとD
2018問2 放射線の生物作用における直接作用と間接作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 直接作用は間接作用に比べて、温度の影響を受けにくい。
D 乾燥した酵素の X線による不活性化は、主に直接作用によるものである。
4 BとD
2018問3 水への放射線照射で生じる。活性種の性質に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B スーパーオキシドラジカルを特異的に消去する酵素がある。
C ヒドロキシルラジカルは DNA に作用して損傷を与える。
3 BとC
2018問4 放射線の生物影響における酸素効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 酸素効果は高LET放射線では低LET放射線に比べて小さくなる。
D 酸素分圧が100 mmHgでは酸素効果はほぼ飽和している。
5 CとD
2018問5 X線による DNA 損傷に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 塩基損傷の生成においては、水素ラジカルと比べて ヒドロキシルラジカルの関与が大きい。
C 単位吸収線量あたりの塩基損傷の数は 塩基遊離の数よりも多くなる。
3 BとC
2018問6 放射線による DNA 二本鎖切断の修復に関する記述のうち 関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 非相同末端結合による修復は全細胞周期で行われる。
E 二本鎖切断は一本鎖切断よりも修復されにくい。
5 CとE
2018問7 2Gyの急性γ線全身被ばくした場合の末梢血中の血球の変化に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A リンパ球はアポトーシスによって死ぬ。
B リンパ球の減少は被ばく後1日以内に起こる。
C 好中球数は被ばく後三日以内に一過性に増加する。
1 ABCのみ
2018問8 放射線によるアポトーシスに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 核の断片化が観察される。
B 核の膨潤が観察される。
C クロマチンの凝縮が観察される。
1 AとC
2018問9 放射線誘発染色体異常に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C G 0期の細胞で、PCC( 未成熟染色体凝縮)法で染色体異常を観察することができる。
D 転座に比べて二動原体染色体の方が 放射線による 頻度の増加をより低線量で検出できる
4 CとD
2018問10 培養ヒト線維芽細胞の細胞周期による致死感受性の変化に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A G1期に比べて M 期は致死感受性が高い。
D S期に比べて M 期の細胞の生存率曲線の肩は小さい。
2 AとD
第1種放射線取扱主任者試験生物11-20
2018問11 細胞が放射線照射により受けた損傷からの回復に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B SLD 回復が起こる場合、総線量が同じであれば分割照射の方が1回照射より生存率が高くなる。
C SLD 回復と PLD回復は、低LET放射線に比べて高LET放射線では小さい。
4 BとC
2018問12 多重標的1ヒットモデルの生存率曲線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B Dqが大きい場合、放射線影響の分割効果は大きくなる。
C 標的数 n が等しい場合、Dq が大きい方がD0は大きくなる。
3 BとC
2018問13 急性γ線被ばくによる精巣の障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 精原細胞はセルトリ細胞より放射線致死感受性が高い。
B 精原細胞は精(子)細胞より放射線致死感受性が高い。
2 ABのみ
2018問14 急性γ線被ばくによる皮膚の障害に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 皮膚に3Gy被ばくした場合、1日以内に紅斑が見られる。
B 皮膚に3Gy被ばくした場合、約3週間後に脱毛が見られる。
2 ABのみ
2018問15 国際放射線防護委員会(ICRP) 2007年勧告における各臓器・組織の組織加重係数の大小関係について、正しいものの組合せは次のうちどれか。
B 生殖腺 > 肝臓 > 脳
D 乳房 > 生殖腺 > 食道
4 BDのみ
2018問16 γ線全身被ばくによる 急性放射線症の前駆期に 見られる症状に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 5Gy被ばく後3時間以内に発熱が見られる。
D 10Gy 被ばく後、1日以内に頭痛が見られる
4 CDのみ
2018問17 放射線誘発乳癌に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 放射線発がんの過剰相対リスクの大きさは被ばく時年齢に関係がある。
D アルコール摂取は発症リスクを増加させる。
5 CとD
2018問18 原爆被爆者の疫学調査において、がん細胞の過剰相対リスクに有利な増大が見られる臓器の組み合わせは次のうちどれか。
A 肺
D 乳房
2 AとD
2018問19 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 肺の線維化は晩発性障害である。
C 突然変異発生率を自然突然変異発生率の2倍にする吸収線量を倍加線量と言う。
3 BとC
2018問20 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 急性障害には確率的影響はない。
D 確率的影響には閾値がない。
3 BとD
第1種放射線取扱主任者試験生物21-30
2018問21 放射線被ばく後の組織の早期反応と晩期反応に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
4 晩期反応のα/β比は1~5程度である。
2018問22 我が国における自然放射線の被ばくに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B 大地からの放射線による被ばく線量は、大地が玄武岩よりも花崗岩で主に構成されている場合の方が大きい。
C 宇宙線による被ばく線量率は沖縄よりも北海道の方が高い。
3 BとC
2018問23 211 At(物理的半減期7.2時間)を含む放射性薬剤を投与後、ある腫瘍(腫瘍細胞)に 100Bqの集積が認められた。この腫瘍において、物理的物理学的半減期 よりも十分長い時間にわたる211 At の集積後からの総壊変数(累積放射能[kBq・s])に 最も近い値は次のうちどれか。ただし、腫瘍の重量は1 kg とする。また、その間、腫瘍からの211 At の排出は起こらず、新たに集積はなく、腫瘍細胞は増殖もせず排除もされないと仮定する。
4 3,700
2018問24 ヒトの体内被ばくによる放射線影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 受精後0~8日の2Gy被ばくにより、胚死亡が生じる。
B 受精後9日~8週の被ばくによる奇形発生の閾値は0.1Gyである。
C 受精後9~15週の1Gy被ばくにより、重度精神遅滞が観察される。
1 ABCのみ
2018問25 放射線による身体的影響と遺伝性(的)影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 身体的影響にはしきい線量があるものとないものがある。
B 被ばくした場合に生じる体細胞の癌化は身体的影響である。
1 AとB
2018問26 放射線による遺伝的影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 生殖細胞の突然変異は遺伝性(的)影響が原因となる。
B 精母細胞は精原細胞よりも突然変異が誘発されやすい。
5 CとD
2018問27 次のうち線エネルギー付与(LET)は 最も小さいものはどれか。
4 高エネルギー電子線 1 MeV
2018問28 次のうち、放射線照射後の細胞の生存率に関する RBE に影響を与えるものの組み合わせはどれか。
A グルコース濃度
B 酸素分圧
C 温度
D LED
5 ABCDすべて
2018問29 粒子線に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A X 線と比べ炭素イオン線の細胞生存率曲線の方が肩が小さい。
D 中性子線はブラックピークを持たない。
3 AとD
2018問30 輸血用血液の放射線照射に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 血液製剤の移植片対宿主病 (GVHD) を予防できる。
E 血液成分のうち放射線の影響を最も受けるのはリンパ球である。
2 AとE
第1種放射線取扱主任者試験物化生3,4
2018物化生 問5 次のⅠ~Ⅲの文章の□の部分に入る最も適切な語句、記号又は数値を、それぞれの解答群> から1つだけ選べ。なお、解答群の選択肢は必要に応じて2回以上使ってもよい。
細胞は放射線に被曝する と細胞傷害や細胞死などを起こす。その感受性は、細胞の種類によって異なり、(A ベルゴニー・トリボンドー)の法則では、細胞分裂の頻度が(B 高い )細胞ほど、将来長期にわたり分裂を続ける細胞ほど、また、形態及び機能において( C 成熟した(分化した))細胞ほど感受性が高いとしている。
臓器・組織の感受性は、構成する 細胞の放射線感受性によって決まる。造血系は最も感受性が高い組織の一つである。成人では 通常(D 赤色骨髄 )が造血機能を持つ。造血系の障害により血液細胞の供給が止まると、末梢血の血球数の減少となって現れる。ただし、(E リンパ球 )については放射線被曝後、数時間から一日の間に(F アポトーシス )を起こすことにより、最も早期に細胞数の減少が観察される 。一方、(G 赤血球 )については放射線感受性が低く細胞寿命が約120日と長いため、出血を伴わない場合には、急速な減少は見られない。また、(H 好中球 )の血液内での通常の寿命は1日以内と短く、被ばく後第一日目に急激に増加する が、その後線量依存的に減少する。
急性障害は、高線量率で高線量の放射線を被ばくした 後に、多数の細胞に細胞障害や細胞死が生じることによって起きる障害を言う 。全身に被ばくした 場合に、数週間以内に生じる一連の症状 を急性放射線症といい、一般に約1Gy以上の線量を被曝する と起きる。被ばく後の時間経過は、典型的には、前駆期、潜伏期、発症期、回復期に分けられる。
前駆期は、放射線宿粋と呼ばれる 症状などが一過性に現れる 48時間以内の時期を指す。前駆期に現れる 初期症状のうち、IAEA の放射線障害に関する ガイドでは、1Gyの被曝で10%程度の人に2時間以降で現れ、線量の増加とともに頻度の上昇と発現時期の早期化が見られる ( I 嘔吐 )を、線量推計の参考となる 臨床的症状としている。1時間以内に( I 嘔吐 )が見られる 場合、少なくとも( J 4 )Gy以上の被曝と考えられ、専門医療機関での医療処置が必要となる。
その後、潜伏期を経て、発症期に入ると、被ばく線量に応じた放射線障害が現れる。例えば、治療をしない場合、被ばく線量が約( K 10)Gy 以上になる と、腸管上皮の再生ができなくなり、腸死が生じ始める。
2 放射線被曝により細胞に誘発された DNA の損傷が 正しく修復されないものは細胞が増殖した 場合、発がんに至ることがある。発がんのリスクは疫学データに基づいて推定されている。一万人あたり、の症例数を、対照群で Ic、1Gy被ばく群で Ir とする と、1万人、1Gyあたりの過剰絶対リスクは (L Ir-Ic ) で、1Gy辺りの過剰相対リスクは( M Ir/ Ic-1)で表わされる 。広島・長崎の原爆被ばく者の死亡率に関する 調査結果では、男女平均の1Gyあたりの過剰相対リスクとして、30歳で被ばくした 人が70歳になった時点で(N 0.42 )との結果が得られている。
母親の胎内で放射線被曝を受けた結果、胎児が被ばくする ことを胎内被曝という。放射線影響の観点から、受精から出生までの間は三つに区分されている。
着床前期は、ヒトでは 受精後(ア 8日 )までの期間である。この時期の主な放射線影響は(O 胚死亡 )である。(O 胚死亡 )のしきい線量は、マウスでは (イ 0.1Gy )であり、被曝により(O 胚死亡 )に至らなかったものは、成長を正常に続け影響は残らないと考えられている。
器官形成期は、ヒトでは 着床後から受精後( ウ 8週)までの期間である。この時期の主な放射線影響は(P 奇形 )である。(P 奇形 )のしきい線量は、ヒトでは (エ 0.1Gy )程度と考えられている。
器官形成期の後、出生までが 胎児期である。この時期では、精神発達遅滞や発育遅延が観察されている。
2018物化生 問6 次のⅠ~Ⅲの文章の□の部分に入る最も適切な語句、記号又は数値を、それぞれの解答群> から1つだけ選べ。なお、解答群の選択肢は必要に応じて2回以上使っても良い。
放射線の生物作用に深く関わる DNA は生命の設計図とも言われる。細胞骨格成分や酵素などとして機能する タンパク質は、DNA の塩基の配列とをもとに、グリシン、アラニンなどの20種類のアミノ酸を決まった配列で重合させることによって作られる。
タンパク質が合成される 際、まず、DNA をもとに、塩基の相補性に基づいて RNA が合成される 。この過程を(A 転写 )といい、合成された RNA を mRNA と言う。なお、m RNA にはDNA に含まれる チミン( T) が含まれず、代わりにウラシル(U)が含まれる。mRNA は核から運び出されて、タンパク質合成が行われる (B リボソーム )に結合する 。(B リボソーム )では、mRNA の塩基3個を一組として、1個のアミノ酸を対応させることにより、タンパク質の合成が行われる。この過程を(C 翻訳 )といい、mRNA の塩基3個の組をコドンという。(D tRNA )は コドンに対応する アミノ酸を(B リボソーム )に運ぶ役割を担う。
放射線、紫外線などによる DNA 損傷や DNA 複製過程でのエラーにより、DNA の塩基の配列に変化が生じることを変異という。DNA に生じた変異はタンパク質のアミノ酸の配列に変化を与える。
細胞周期制御や アポトーシス誘導に関わる p53タンパク質は、多くのヒトがんで変異が認められる 。下の図1に、ヒトp53タンパク質の mRNA の塩基配列の一部を示す。mRNA の塩基の番号は、タンパク質合成が開始される コドンの1番目の塩基を一番とし、以下、タンパク質合成が進行する 方向に向かって増えるように植え付けることとする。また、タンパク質のアミノ酸の番号は、タンパク質合成が開始される コドンの1番目の塩基を1番とし、以下タンパク質合成が進行する 方向に向かって増えるようにつけることとする。
塩基の番号: 1から30番
AUGGAGGAGCCGCAGUCAGAUCCUAGCGUC
人気の番号391番から420番
AACAAGAUGUUUUGCCAACUGGCCAAGACC
下の表1はコドンとアミノ酸の対応を示した もので、遺伝暗号表ある いはコドン表などと呼ばれる。
表1を参照する と、ヒトp53タンパク質における一番のアミノ酸は (E メチオニン )、2番のアミノ酸は( F グルタミン酸)である ことが分かる。また、ヒトp53タンパク質は 393個のアミノ酸から構成される 。従って、ヒトp53 タンパク質の mRNA の終止コドンの3番目の延期の番号は(ア 1,182)番となる。
あるヒトがん組織においてp53タンパク質のmRNAの塩基配列を調べたところ、一本下線で示した 404番の G がUに変化している例が見られた。正常な p53タンパク質において、この塩基を含むコドンによって指定される ( イ 135)番のアミノ酸は 本来 (G システイン )である が、変異した p53タンパク質では (H フェニルアラニン )に置き換わっている。このような変異を(I ミスセンス )変異という。また、別のヒトがん組織では 二本下線で示した 405番目の C が A に変化していた。この結果、( イ 135)番のアミノ酸を指定する コドンが終止コドンに変化する 。このような変異を(J ナンセンス )変異と言う。
また、ヒトがん組織では、p53タンパク質の mRNA のに塩基の欠失や挿入が見られる 場合もある。欠失する ある いは挿入される 塩基の数が(K 3の倍数でなければ )、コドンの組み合わせが変わり、変異が起こった位置以降でのタンパク質 アミノ酸配列が大きく変化する。このような変異を(L フレームシフト )変異と言う。
染色体の数又は構造の変化を伴う遺伝情報の変化を染色体異常という。染色体には様々なものがある 。下の図2の2本の染色体で、染色体1 a-b 間と染色体2の c-d間で DNA 二本鎖切断が生じたとする。この時、誤って染色体1のa側の末端と染色体2のc 側の末端が結合される と、(M 二動原体染色体 )が生じる。また、染色体1のa側の末端と染色体2のd 側の末端が結合され、同時に染色体1の b 側の末端と染色体2のc 側の末端が 結合される と、(N 転座 )が生じる。
染色体異常は安定型染色体異常と不安定型染色体異常に分類できる。(M 二動原体染色体 )や(O 環状染色体)は(P 不安定型 )染色体異常に分類される 。安定型染色体異常と不安定型染色体異常のうち、がん化に関係する のは(Q 安定型 )染色体異常である と考えられている。また、急性期における放射線被ばく線量の生物学的推定は(R 不安定型 )染色体異常を指標として行う場合が多い。