放射線取扱主任者試験は、合格率が20%から30%ということが多く、
比較的難しい試験です。
ですが、しっかり繰り返し過去問をやりさえすれば、
十分合格できる試験です。
私は、過去問の選択肢を見ると記憶があいまいになるため、
視覚的に覚えられるように自分のためにこのサイトを作りました。
もしよかったらご参考にしてみてください。
試験を受けてからだいぶ時間が経っているため、
外れているところもあるかもしれませんが、ご了承ください。
放射線取扱主任者試験化学1~10
2019問1 放射能が等しい60Co (半減期5.27年) と57Co (半減期272日) が存在するとき、それぞれの原子核の個数の比(60Co/57Co) として、最も近い値は次のうちどれか。
4 7.1
2019問2 211Atは半減期7.2時間で、42%はα壊変し、58%はEC壊変する。 α壊変の部分半減期[時間]として、最も近い値は次のうちどれか。
4 17
2019問3 40K(同位体存在度0.0117%) の半減期は1.251×10 9年である。 745.5gの塩化カリウム(式量74.55)の放射能[Bq]として、最も近い値は次のうちどれか。
2 1.2×104
2019問4 次のうち、放射能が等しいものの組合せはどれか。
A 半減期T、原子数Nの核種Aの放射能
×C 半減期T/2、原子数N/2の核種Cの放射能
D 半減期T、原子数Nの核種Aと永続平衡にある核種Dの放射能
1 ACDのみ
2019問5 比放射能 200 Bq・mg-1の[14C]トルエンC6H5-CH3 を酸化して得られる[14C]安息香酸C6H5- COOHの比放射能[Bq・mg-1]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、 トルエン、安息香酸の分子量はそれぞれ92、122とする。
3 150
2019問6 放射平衡に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
3 放射平衡が成立すると、娘核種の放射能は親核種の半減期で減衰する。
2019問7 半減期2Tの核種Xが、半減期 Tの核種Yに壊変するとする。 はじめにXのみが存在していて、その放射能が100Bqだったとき、Xの放射能(A1) とYの放射能(A2)の時間変化を表すグラフとして、正しいものは次のうちどれか。
1
2019問8 211Atは、42%がα壊変して207Biに、58%はEC壊変して211Poになる。 211Poはα壊変する。
211Atと211Poの半減期はそれぞれ7.2時間と0.52秒である。211Atと211Poが放射平衡にあるとき、211Atと211Poが単位時間に放出するα線の数をそれぞれNAt、NPoとすると、これらの比(NAt/NPo) として最も近い値は、次のうちどれか。
2 0.7
2019問9 69Gaへの陽子照射によるRIの製造に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。図は69Gaの(p,n)、(p,2n)、(p,3n)反応の励起関数である。
×B いずれの核反応でも生成する核種は無担体となる。
C 十分に厚いGa標的に陽子を照射する場合、15 MeV照射に比べて、25 MeV照射の方が、68Geの生成放射能は大きくなる。
×
3 BとC
2019問10 次の核反応のうち、標的核と生成核の原子番号が等しい核反応の組合せはどれか。
A (γ,n)
B (n,γ)
×D (d,p)
× 2 ABDのみ
放射線取扱主任者試験化学11~20
2019問11 24Naを生成する反応として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
A 22Ne(α,pn)
B 23Na(n,γ)
×D 27A1(n,α)
2 ABDのみ
2019問12 天然の放射性壊変系列に属する放射性同位体がある元素として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
×B At
C Fr
3 BとC
2019問13 リンの同位体に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
×B 31Pは安定同位体である。
×D 33Pの半減期は約25日である。
4 BとD
2019問14 陽電子放射断層撮影 (PET) で用いられる核種11C、13N、15O及び18Fの4核種に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
×B 13Nは16O(p,α)反応で製造できる。
×D 18O濃縮H2Oを標的として18Fを製造できる。
5 BとD
2019問 15 次の放射性同位体の組合せのうち、半減期が短いものから長いものの順に並んでいる ものはどれか。
3 35S < 45Ca < 3H < 14C
2019問16 壊変系列をもつ一次天然放射性核種とその最終壊変生成物として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
×4 232Th _ 208Pb
×
2019問17 天然放射性核種に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 7Beは宇宙線による核破砕反応で生成する。
×C 40Kの壊変によって大気中の40Arが増加した。
D 235Uの同位体存在度は、10億年前に比べて現在の方が小さい。
3 ACDのみ
2019問18 ガラスビーカーに固着した放射性物質の除去方法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
×D [65Zn]酸化亜鉛には希塩酸を用いる。
E [110mAg]塩化銀にはチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いる。
5 DとE
2019問19 環境中の放射性ストロンチウムの分析に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 発煙硝酸法は硝酸ストロンチウム沈殿の生成を利用した分離法である。
2019問20 次の操作のうち、化学反応の結果として放射性気体が発生するものの組合せはどれか。ただし、IM=1 mol・L-1である。
C 固体Fe35Sに、1.0M塩酸を加える。
×E 1.0 M Na214CO3水溶液に、0.5M硫酸を加える。
5 CとE
放射線取扱主任者試験化学21~30
2019問21 鉛イオンを含む90 mLの溶液Aがある。 51Crを100 kBq・L-1含む51Cr標識クロム酸カリウム(K2CrO4)水溶液10mLを加えたところクロム酸鉛(PbCr O4)が沈殿した。加えたクロム酸カリウム水溶液の濃度は0.10 mol・L-1であった。沈殿分離後の上澄み液の51Cr濃度が9.1kBq・L-1であったとき、はじめの溶液Aに含まれていた鉛イオンの濃度[mol・L-1]として、最も近い値は次のうちどれか。
2 0.001
2019問22 イオン交換分離に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
×B 強酸性陽イオン交換樹脂カラムに22Naイオンと86Rbイオンを含む水溶液を流すと、22Naが86Rbよりも先に溶離する。
×D 強塩基性陰イオン交換樹脂力ラムに38Cl-イオンを含む水溶液を流すと、38Cl-イオンが吸着する。
5 BとD
2019問23 放射性核種を水溶液から取り除く方法として、適切なものの組合せは次のうちどれか。
×B 42KBr水溶液を陽イオン交換樹脂カラムに通す。
C 57NiCl2水溶液をジメチルグリオキシムのエーテル溶液と振り混ぜる。
× 3 BとC
2019問24 トリチウムの標識化合物の生成に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 安息香酸と炭酸リチウムの混合物を熱中性子照射すると、安息香酸はトリチウムで標識される。
B グリニャール試薬(R-MgBr)とトリチウム水(HT0)を反応させると、 トリチウムで標識されたR-Tが生成される。
C トルエンとトリチウムガスを密封容器に入れて数日間放置すると、 トルエンはトリチウムで標識される。
×1 ABCのみ
2019問25 試料中の成分Xを定量するために、40 mgの標識した成分X (比放射能270 Bq・mg-1) を試料に添加し、よく混合して均一にした。その後、成分Xの一部を純粋に分離したところ、比放射能は90 Bq・mg-1であった。 試料中の成分Xの量[mg]として最も近い値は、次のうちどれか。
4 80
2019問26 ホットアトム効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 熱中性子照射したへキサアンミンコバルト(II[)硝酸塩Co(NH3)63を水に溶かすと、60Co2+が得られた。
B 熱中性子照射したへキサシアニド鉄(II)酸カリウム三水和物K4[Fe(CN)6]・3H2Oを塩酸に溶かしてエーテルを加えると、59Feが有機相に抽出された。
×D 熱中性子照射したクロム酸カリウムK2Cr O4を水に溶かした後、その水溶液を陽イオン交換樹脂に通すと51Cr3+が樹脂に吸着した。
1 ABDのみ
2019問27 次のうちα線源を利用している機器はどれか。
5 煙感知器
2019問28 放射線によって分子性の物質中に生ずる変化に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 放射線が物質に及ぼす効果は、放射線との直接相互作用と、これにより生成したイオンなどとの相互作用により現れる。
B スパー(スプール)は、放射線の飛跡にそって微小領域に生成するイオンやラジカルなどの集合体である。
D γ線の場合、物質との相互作用により生成した二次電子がスパー(スプール)を生成する。
2 ABDのみ
2019問29 放射線照射した水溶液中に生成する活性化学種の性質に関する次の記述のうち、正しい組合せはどれか。
×B 水和電子は水素原子より強力な還元性をもつ。
×D ヒドロキシルラジカルは電子スピン共鳴吸収装置(ESR)で測定できる。
4 BとD
2019問30 51CrはEC壊変して51Vになるときに、320 keVのγ線を放出する。 51Cr線源からの放射線を鉛で遮蔽するとき、次の記述のうち正しいものの組合せはどれか。ただし、鉛の密度は11g・cm-3、320 keVのγ線に対する質量減弱係数は0.35cm2・g-1とする。
×B 厚さ1.8mmの鉛で320 keVのy線は約1/2に減弱する。
×D 制動放射線の遮蔽は考慮する必要がない。
4 BとD
放射線取扱主任者試験化学31,32
2019問31 次の文章の□の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを1つだけ選べ。
放射線を利用 した元素分析法の1つに放射化分析法がある。 この方法では、核反応を利用 して放射性核種を生成し、この核種からの放射線を測定することによって元素を定量する。 最もよく利用される核反応は(n,γ)反応で、標的核と生成核の A 原子番号 は等しい。 生成する放射性核種の多くはγ線を放出するので、エネルギー分解能の良い B Ge半導体検出器でγ線スペクトルを得ることにより、多種類の元素を同時に定量することができる。
(n,γ)反応により生成する放射性核種の放射能.Aは、次式により計算できる。
A=Nφσ C (1-e-λt) ・・・・・ (1)
ここで、Nは標的核の数、φは中性子フルエンス率、σは核反応断面積、 λは生成核種の壊変定数、tは照射時間である。 C (1-e-λt) はD 飽和係数と呼ばれ、例えば、tが生成核種の半減期と等しいとき、 ア 0.5 となる。
また、Nは次の式で表される。
N= E w/M×NA×θ ・・・・・ (2)
ここで、wは元素の質量、Mは原子量、NAはァボガドロ定数、θは同位体存在度である。
分析試料と標準試料 (既知量の目的元素を含む試料)を同時に中性子照射したとき、それぞれの試料で同じ目的元素から生成する放射性核種の放射能をそれぞれAとA’とすると、(1)式から
A/A’=N/N’ ・・・・・ (3)
が成り立つ。ただし、NとN’ をそれぞれ分析試料と標準試料に含まれる標的核の数とする。また、wとw’をそれぞれ分析試料と標準試料に含まれる目的元素の質量とすると、(2) 式を用いて、次の関係が成り立ち、分析試料と標準試料の放射能から質量を求めることができる。
A/A’=N/N’=w/w’・・・・・ (4)
これが放射化分析法の定量原理である。
分析試料に含まれる目的元素が極微量で、その誘導放射能が小さいときは、照射後に目的元素を化学分離することにより、定量下限値を下げることができる。その際、既知量のF 担体を加えて分離すると、目的元素の回収率を求めることができるので、必ずしも定量的な分離の必要はない。 短半減期核種を対象とするときは、回収率を上げるよりも、分離操作時間を短くすることを優先する場合がある。 例えば、操作時間が半減期の3倍で回収率が100%である時よりも、操作時間は半減期と同じで回収率は50%の方が、得られる放射能はイ 2.0 倍になる。
化学分離には、沈殿法、溶媒抽出法、イオン交換法などが利用される。沈殿法は、種々のイオンが溶解している溶液から、目的イオンだけをG 溶解度の小さい化合物に変え、沈殿させて分離する方法である。 この際、本来は沈殿しない目的外の微量なイオンが沈殿に取込まれることがある。 この現象をH 共沈 という。 H 共沈を防ぐには、前もって I 保持担体 を添加しておくとよい。
例えば、照射後、試料中の100 Bqの131Baを分離するために、F 担体 として5.0 ×10-5 mol(10 mg) の塩化バリウム(BaCl2)を添加したのち、適切な方法で溶解し、100mLの溶液とする。この溶液に5.0×102mol・L-1の希硫酸(H2SO4)を1.0 mL加えると、硫酸バリウム(BaSO4) が沈殿する。
BaSO4の溶解度積を1.6×10-9mol2・L-2とすると、 ウ 92 Bqの131Baが沈殿に含まれる。(なお、131Ba の減衰、溶液の体積の変化、並びに試料中のBa以外の元素との化学反応は無視してよい。 )
一方、溶媒抽出法とイオン交換法は、2つの異なる相の間で元素がJ 分配される現象を利用した分離法で、 トレーサー量の元素に対しても適用可能である。
2019問32 次のI、nの文章の □ の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを1つだけ選べ。
I 放射性ヨウ素の同位体はトレーサー実験及び核医学診断や放射線治療に用いられており、加速器や原子炉で製造されている。 核医学で用いる放射性ヨウ素は無担体で高い比放射能であることが必要である。
下表に、代表的な放射性ヨウ素の核種と半減期、製造方法、壊変様式と主な放射線、適用例をまとめた。123Iは加速器を使って124Xeを標的とした ア (p,2n) 反応で生成した短寿命の123Csが123Xe に壊変し、さらに123Xeの壊変によって得られる。123Iは半減期13.2時間でEC壊変して、主にA 159 keVのγ線を放出し、 B 甲状腺シンチグラフィに利用される。 β線を放出しないので体内に投与した時の被ばく線量は少ない。1251は、原子炉で124Xe(n,γ)125Xe反応により生成する125XeのEC又はβ+壊変により得られ、半減期59.4日で イ EC 壊変して C 35.5 keVのγ線を放出する。クロラミンTを用いてD チロシン残基を125Iで標識したタンパク質は、 E ラジオイムノアッセイに利用される。 131Iは、主にウ 235Uの熱中性子照射により製造され、半減期8.02日でエ β- 壊変して主にF 365 keVのγ線を放出する。 ヨウ素は加熱などの操作により気体となりやすいために、吸入などしないように取り扱いには注意する必要があるC また、131Iの約1%は半減期11.8日の放射性気体のG 131mXeに壊変することも考慮すべき点である。
II 熱中性子を吸収した原子核は、γ線を放出すると同時にH 反跳エネルギーを得る。 このエネルギーが化学結合エネルギー以上となると結合を切断して、中性子を捕獲した分子とは異なる化学形となる。 1934 年にSzilardとChalmersは、この核反応による化学効果を初めて発見した。
127Iの熱中性子捕獲反応で生成する128I(半減期25.0分)を考える。水に不溶な液体であるヨウ化エチルC2H5I(分子量156)3.12gを50分間熱中性子照射した場合、照射終了時の128Iの放射能は I 1.1×105 Bqとなる。ただし、熱中性子の反応断面積は6.2×1024cm2、中性子フルエンス率は2.0×106cm-2・s-1、アボガドロ定数は6.0×1023 mol-1とする。 照射終了後、還元剤を含む水と振とうすると、生成した128Iの大部分はオ I-の化学形で水相に抽出されるので、高い比放射能の128Iを得ることができる。