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放射線 放射線取扱主任者試験

令和4年度 第1種放射線取扱主任者試験物理学

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目次

第1種放射線取扱主任者試験物理1-10

2022問1 質量mの粒子が光速 cの 1/2 の速度で運動しているときの全エネルギーとして、正しいものは次のうちどれか。
 
2 2/√3mc2 

2022問2 X線発生装置の管電圧を 120 kVとしたときに発生するX線の最短波長[nm]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、プランク定数は6.6×10-34 J・sとする。

3 1.0×10-2 

2022問3 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 中性子の質量は陽子の質量より大きい。
3 鉄の安定な同位体では原子核内の中性子数は陽子数より多い。
4 重陽子の質量は陽子の質量の2倍よりも小さい。
5 原子核の半径は質量数の3分の1乗に比例する。

2022問4 放射性壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 陽子は原子核外で壊変しない。
D 原子核内の陽子は電子捕獲して中性子になることがある。
E 原子核内の中性子数は、α壊変が起きると2減少する。
3 ADEのみ 

2022問5 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 11Cは11Bの鏡映核である。
B 43Kは45Scの同中性子体である。
D 90Srは90Zrの同重体である。
1 ABDのみ

2022問6 陽電子に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 真空中で陽電子は安定である。
B 陽電子と電子でポジトロニウムをつくる。
C 消滅放射線のエネルギーは、ドップラー効果により広がりを持つ。
D 電子対消滅では、3個の消滅放射線を放出することがある。
5 ABCDすべて

2022問7 1.0 MBqの137Cs線源から放出される661.7keV光子の毎秒の平均個数[s-1]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、137mBaの内部転換係数を0.11とする。

4 8.5×105 
 
2022問8 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
C 電子捕獲に引き続き特性X線またはオージェ電子が放出される。
D β+壊変は電子捕獲と競合して起こる。
5 CとD 

2022問9 サイクロトロンにおいて、磁束密度Bの磁場のもとで円運動する荷電粒子 (電荷q、速度υ、質量.m) の角速度として正しいものは、次のうちどれか。
3 qB/m
4

2022問 10 タンデム方式ファン・デ・グラーフ型加速器において通常は使用されないものの組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
C 交流電磁石
D ディー電極
4 CとD

第1種放射線取扱主任者試験物理11-20

2022問 11 熱中性子による 2H(n,γ)3H 反応で放出されるγ線のエネルギー[MeV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、n、2H、及び3Hの質量(原子質量単位)をそれぞれ1.00866 u、2.01410 u、及び3.01605 uとする。
 
5 6.25 

2022問12 励起状態にある複合核が2つの原子核A (質量Ma) と原子核B (質量Mb) に分裂したとき、それぞれの運動エネルギーをEa、Ebとすると、Ea/Ebと等しいものは、次のうちどれか。ただし、複合核は静止しているものとし、原子核は非相対論的に運動するものとする。
2 
  
2022問 13 加速器施設において最大エネルギー15 MeVの中性子により放射化されたステンレス管からのγ線スペクトルをGe半導体検出器を用いて測定したところ、122keV、511keV、811keV、835keV付近に主なピークが見られた。このときに測定により確認されたステンレス管中の放射性核種として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
B 54Mn
C 57Co
D 58Co 
5 BCDのみ

2022問14 屈折率が 1.5のガラス中でチェレンコフ光を発生させる電子の最小エネルギー[MeV]として、最も近い値は次のうちどれか。
3 0.18 

2022問15 気体のW値に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B W値は、気体のイオン化エネルギーより大きい。
D 空気のW値は、ヘリウムのW値よりも小さい。
 
4 BとD 
 
2022問 16 光子と物質との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
3 コンプトン散乱の断面積は物質の原子番号に比例する。

2022問 17 1.25 MeVの光子における線減弱係数と線工ネルキー転移係数とが異なる要因として、正しいものの組合せは次のうちどれか。
A 電子-陽電子対の生成
B コンプトン散乱光子の放出
C 軌道電子の結合エネルギー
1 ABCのみ

2022問18 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A コンプトン効果は光子の粒子性を示す現象である。
C コンプトン効果に対する質量減弱係数は物質の電子密度に比例する。
 
2 AとC 

2022問19 1.0 MeVのγ線が検出器に入射し、90° 方向にコンプトン散乱された後、さらに180° 方向にコンプトン散乱され、検出器外へ逃げるとする。検出器に付与されるエネルギー[MeV]として、最も近い値は次のうちどれか。
5 0.85 

2022問20 熱中性子の検出に用いられる6Liの(n,α)反応において、6Liとnの質量の合計が7.02379 u、生成核の質量の合計が7.01865 uであるとき、α粒子に与えられるエネルギー[MeV]として、最も近い値は次のうちどれか。
2 2.1 

第1種放射線取扱主任者試験物理21-30

2022問21 次の中性子検出器のうち、主に弾性散乱を利用するものの組合せはどれか。
B 有機液体シンチレーション検出器
D 高速中性子用固体飛跡検出器
4 B とD


5 2022問22 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 10 MeVは1×107eVである。
B 100 psは1×10-10 sである。
1 AとB 


2022問23 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 陽電子に対して、カーマは適用できない。
B X線に対して、カーマを適用できる。
1 AとB

2022問24 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 放射化検出器は中性子の検出に用いられる。
3 シンチレーション検出器は放射線の蛍光作用を利用する。
4 電離箱式の照射線量計では電離箱内の空気中につくられたイオンの飽和電流を測る。
5 GM計数管は計数ガス中に生じた電子をガス増幅することで大きな出力パルスを生み出す。

2022問25 同一の条件で試料A と試料Bからの放射線をそれぞれ測定した。バックグラウンドを差し引いて得た計数率は、試料Aが1,200±36cpm、試料Bが600±24cpmであった。試料Aと試料Bの計数率の比2.0の値に対する誤差(標準誤差)を示す数値として、最も近い値は次のうちどれか。
4 0.10 

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2022問26 60Coからの 1,332keVγ線に対する Ge検出器の理論的な半値幅FWHM[keV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、ファノ因子(Fane factor)を0.1とし、ゲルマニウムのW(ε)値を2.96eVとする。
2 1.5 

2022問27 ある気体が充填されている電離箱に100 kBqのトリチウムガスを注入したとき、3.4pAの飽和電流が得られた。充填されている気体のW値[eV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、トリチウムから放出されるβ線の平均エネルギーは5.7keVであり、すべてが気体中で吸収されるものとする。
3 27

2022問28 大気の温度が27℃、気圧が1,000 hPaの条件下で、大気と平衡にある空気電離箱の照射線量の指示値が1.0 C・kg-1であった。標準状態(0℃、1,013hPa)における照射線量[C・kg-1]に換算したとき最も近い値は次のうちどれか。
4 1.1 

2022問29 次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
B Si(Li)半導体検出器は、55Fe線源からのX線のエネルギー測定に適している。
C 表面障壁型Si半導体検出器は、241Am線源からのα線のエネルギー測定に適している。
3 BとC

2022問30 放射線測定器で1回の測定で計数値が10,000カウントであったとき、計数の真の値が9,700カウントから10,300カウントの範囲に存在する確率[%]に最も近い値は、次のうちどれか。ただし、放射線測定で得られる計数値の統計的変動はガウス分布に従うものとする。
5 99.7 

第1種放射線取扱主任者試験物理31-32

2022問31 次の文章の[ ]の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを 1つだけ選べ。
薄い金箔にα線を入射させたときに[A 2α線が後方に散乱される]実験結果が得られたこ とから、ラザフォードは[B 2 正電荷 ]の原子核を電子が周回する図のような原子模型を提案した。
原子核の原子番号をZとし、電荷e、質量me、接線方向の速度oの電子が半径rの円軌道を描いて回っている場合を考える。このとき、真空の誘電率を90とすると、電子は原子核から中心方向にZe2/4πε0r2の(C 4 クーロン)力を受ける。そして、(1)式のように[C 4 クーロン]力と正反対の方向に働く見かけの力 (遠心力) [ア mev2/r]が釣り合うことにより、電子が円軌道を描いて回る。
ア mev2/r = Ze2/4πε0r (1) 
また、電子の運動エネルギーT=[イ 1/2・mev2]と原子核が作る静電場内でのポテンシャルエネルギーU=Ze2/4πε0rとの和で表される電子の全エネルギーEは、
E=T+U=[イ 1/2・mev2]-Ze2/4πε0r  (2)
Ze2/4πε0rとなる。
ところが、この原子模型では、電子の周回による制動放射で電子がエネルギーを徐々に失うことにより円軌道の半径が減少してゆき、最終的には電子が原子核に落ち込んでしまうことから、安定した原子が存在し得ないという間題が解決できなかった。
ボーアは、[D 11 しきい線量]を仮定した原子模型を提唱し、これを満足する軌道上に電子があるときのみ安定であると考えた。[D 11 しきい線量]は、円軌道の周長が電子のド・ブロイ波の波長[ウ h/mev]の自然数倍(n倍) でなければならないことを意味する次式で表される。ここで、hはプランク定数である。
2πr=n×[ウ h/mev](n=1,2,3,・・・) (3)
n番目の円軌道の半径rnは、(1)式と(3)式より電子の接線方向の速度υを消去し、F(n)をnの[エ 7 2]乗とすると、rn=[オ ε0h2/πmeZe2]× F(n)   (4)となる。n=1の場合の水素原子の半径r,はボーア半径と呼ばれ、その値は[カ 5.3×10-11]mとなる。ここで、me=9.1×10-31kg、ε0=8.9×10-12C2・N-1・m-2、h=6.6×10-34 J・s とする。このとき、n=1、2、3である電子の軌道を、順に[E 9 K軌道、L軌道、M軌道]と呼ぶ。
次にn番目の円軌道の電子の全エネルギーEnは、(1)式、(2)式及び(3)式より電子の接線方向の速度υと円軌道の半径rを消去し、G(n)をnの[キ 3 -2]乗とすると、
En=[ク 3 -meZ2e4/8ε02H2]×G(n)   (5)
となる。(4)式と(5)式から、原子核を周回する電子の取りうる軌道とエネルギーは離散的であることから、軌道電子が制動放射により連続的にエネルギーを失うことが許されないことになる。
水素原子の場合、[ク 3 -meZ2e4/8ε02h2]を精度よく計算すると-13.6eVになる。水素原子の n=3 の軌道にあった電子がn=1の軌道に遷移することを考える。このとき、遷移の前後の軌道に対応する電子の全エネルギーEn の差に等しいエネルギーの[F 1 光子]が放出され、そのエネルギーは約[ケ 5 12]eV となる。
2022問32 次の I ~Ⅱの文章の[ ]の部分について、解答群の選択肢のうち最も適切な答えを 1つだけ選べ。
I 荷電粒子は物質中を通過するとき、電離作用と励起作用により、電子の場合はさらに制動放射によって、連続的にエネルギーを失う。荷電粒子が物質中で厚さdx当たりに失うエネルギーdEの割合を阻止能S(=-dE/dx)といい、電離・励起によるものを衝突阻止能Sc、制動放射によるものを[A 4 放射]阻止能SRと呼ぶ。ベーテの式によれば、荷電粒子に対する衝突阻止能は標的物質の[B 9 電子密度]に比例して増大する。また、Scを標的物質の密度ρで除した[C 1 質量]衝突阻止能Sc/ρは、物質の[D 5 原子番号]と[E 6 原子量]の比([D 5 原子番号]/[E 6 原子量])に比例し、そのため近似的には物質に依存しない。
Ⅱ ベーテの式によると、電荷数z、エネルギーE、質量Mの非相対論的な粒子に対して、Scは[F 1 Mz2/E]に比例し、飛程は[G 7  E2/z2M]に比例する。同一速度の2つの粒子、粒子1(電荷数z1、エネルギーE1、質量M1)及び粒子2(電荷数z2、エネルギーE2、質量M2)が、標的物質に入射し同じSc を与える場合は、2つの粒子のエネルギーの比E1/E2は、[H 8 M1/M2(z1/z2)2]となる。この比E1/E2は、粒子2 が陽子のとき、粒子1が三重陽子の場合は[ア 10 3]、粒子1がα粒子の場合は[イ  13 16]となる。また、粒子1及び粒子2の飛程をR1及びR2とすると、粒子の速度は等しいので、粒子の飛程の比R1/R2 は[I 10 M1/M2(z2/z1)2]で与えられる。これを用いると、4 MeVのα粒子の飛程Rαとそれと等速の陽子の飛程Rp の比Rα/Rpは[ウ  8 1]となる。
3 エネルギーの高い電子においては、標的物質の原子番号が大きくなると、衝突阻止能Scに加えて[A 4 放射]阻止能SRの割合が大きくなる。エネルギーが6 MeVの電子における阻止能の比SR/Scは、近似的に、標的物質がアルミニウム(原子番号18)の場合には[エ 4 0.1]である。また、衝突阻止能Sc と[A 4 放射]阻止能SRとが等しくなる電子のエネルギーは[J  4 臨界エネルギー]と呼ばれ、標的物質が鉛(原子番号82) の場合約[オ   10 10]MeVである。

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