重粒子線治療。
放射線治療の中でも
比較的新しい治療ですが、
重粒子線とはどんなものなのか、
私なりの説明になってしまいますが、
できるだけイメージしやすいように
説明できればと思いますので、
もしよかったらご覧ください。
重粒子線治療とは?
重粒子線治療の
重粒子線。
現在では、炭素イオン線のことを指します。
重い粒子線と書きます。
重い粒子線とはどんな意味なのでしょうか。
放射線の一種ということは
薄々わかるとは思いますが、
放射線には、
電離放射線と非電離放射線ってのがあります。
非電離放射線は、
可視光線やラジオの電波なども含まれます。
そういう意味では放射線を見ているといっても良いと思います。
ですが、
あなたのイメージする放射線と、可視光線などは、
かけ離れていますよね。
放射線は放射線でも、電離放射線と非電離放射線は全然違うんです。
ただし、共通点もあることからそれは仲間と言えます。
で、放射線のイメージが一人歩きしていますが、
それは電離放射線のことを言います。
つまり、一般でいう放射線=電離放射線と言っても良いと思います。
ここからは電離放射線のことを放射線と書きますが、
放射線は、
電磁波と粒子線に分かれます。
電磁波はX線(エックス線)とγ線(ガンマ線)の2種類のみ。
これは置いておいて、
粒子線。
粒子線は、文字通り粒子として存在しています。
ただし、それはそれは小さい粒子です。
ですので、当然目に見えません。
なぜなら、それは原子核というレベルの小ささなのですから。
どのくらいかというと、
原子核半径は大体ですが、
1万分の1の1万分の1の1万分の1㎜という小ささです。
その粒子を加速器というもので加速させて
体に当てることで治療できるわけです。
それを粒子線治療と言い、
軽い粒子線には、陽子線や中性子線があります。
陽子線の正体は水素の原子核と同じですが、
元素の周期表を見るとわかりますが、
周期表の上の左の方が軽くて右に行くと徐々に重くなって、
段が下に行くとさらに重くなります。
重い粒子線を加速させて治療に使うのが、
重粒子線治療となります。
現在は、炭素イオン線が主に利用されています。
重粒子線治療はx線と違う?
重粒子線治療はX線治療とどう違うのか。
重粒子線治療のX線との違いは、
ブラッグピークが存在することです。
X線も放射線治療に使われていることは、
知らないとしても、
少し調べればわかると思いますが、
X線は、体の表面近くで線量が最大となります。
つまり、体の奥に行くと減ってしまうというイメージです。
ですので、
体の奥の方に病巣があった場合、
病巣の手前にある正常組織がダメージをたくさん受けます。
エックス線の場合、
それを2方向から当てたり、
いろいろ工夫して、正常組織のダメージを減らす事が
できるようになってきた歴史があります。
その精度も日進月歩と言ってよいほど変わってきました。
一方、重粒子線は、
体の表面近くにはあまりダメージを与えずに、
体の奥の10数センチの所でダメージが最大となります。
体の奥の方でピークになることをブラッグピーク
と言いますが、そこに病巣があれば、
正常組織のダメージをエックス線と比較して、
表面の方の組織にダメージをあまり与えることなく、
がん組織にダメージを与えられると言われています。
重粒子線治療のメリットデメリットは?
重粒子線治療は、
さきほど述べたように、
エックス線などと比べると、
表面近くのダメージが少ないので、
体の奥の方の臓器を治療するには、
特に有利になる可能性を秘めています。
個人的には、
まだ発展途上の気がしますし、
導入にも巨額の費用がかかりますし、
患者さんにも費用の負担が現時点では大きいですから、
どこまで普及するかは未知数です。
照射の精度がどこまで上がるかが決め手となりそうですが、
最近では、
他にも放射線の世界でも、
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)と呼ばれるものが出たり、
いろんな治療法が研究されていますので、
その狭間に埋もれないとも限らないと思います。
まとめ
重粒子線治療は、
そのメリット、デメリットありますが、
最大限に利用できれば、
大きな価値を生むと思います。
ですが、
費用の面でのサポートがなければ、
一般人には経済面での打撃が大きすぎますので、
重粒子線治療が普及するようになると、
がん治療も一歩前進することでしょう。