放射線の種類
放射線の種類。
最初になじみのない単語を出してしまいますが
あとからだんだん説明していこうと思います。
放射線には電離放射線と非電離放射線とがありますが、
可視光線や紫外線といった非電離放射線は、
あまり一般的ではなく、
おそらくあなたが頭に描く放射線とも違うはずなので
一般に放射線といえば電離放射線といわれるものなので、
電離放射線に注目して説明していきます。
電離放射線、いわゆる放射線には、
X線、α線、β線、γ線、電子線、陽子線、重粒子線、中性子線という種類があります。
X線は、電磁波と呼ばれ、電波や可視光線などよりエネルギーが大きいのですが、
同じ放射線の分類の中に同じ性質を持つものがあります。
それはどれかというと、γ線です。
ガンマ線
γ線は物理的性質はX線と全く同じです。
しかし、なぜ、名前が違うかというと、発生源です。
発生源っていうと難しく聞こえるかもしれませんけど、
どういう所から出てくるかということです。
まず、X線は基本的にX線発生装置という装置で出されます。
可視光線はX線の仲間と説明しましたが、
蛍光灯を入れるとき普通スイッチ押しますよね?
それとよく似ていますが、
X線もスイッチがあって、
とはいっても蛍光灯より装置は大がかりですが、
スイッチを押すことで、設定した時間だけのX線が、
X線管球というものから、
まるで、蛍光灯から光が出るかのように、
出てきます。見えませんけどね。
なぜ時間を設定するかと言うと、
出せば出すほど被曝しますから、
蛍光灯の光のようにX線を出しっぱなしはまずいですし、
蛍光灯もずっと点けっぱなしでは熱を持ちますが、
X線管球も熱を持つので負荷がかかりすぎてしまうため、
ある程度抑えないとすぐに壊れてしまいます。
X線はX線発生装置という機器で出します。
機器で出すので、自分でコントロールしやすい。
そのため、いろんなところで、もちろん医療でも利用されています。
一方、γ線は違います。
γ線は原子から出ます。放射性物質です。
放射性物質は、エネルギーを持って不安定な物質と表現できます。
放射性物質はここではイコール放射性同位元素としますが、
放射性同位元素と反対の意味をする言葉が安定元素です。
安定元素に対して放射性同位元素です。
不安定な放射性同位元素は、不安定なので、
エネルギーを放出して安定になろうとします。
放射性同位元素によってはエネルギー以外のものを放出する種類もありますが、
エネルギーだけを放出するのがγ線です。
γ線は、放射性物質から出るという、
X線との決定的な違いがありますが、
それ以外の性質はレントゲンで知られるX線と同じなので、
画像にするのが他の放射線と比べて楽です。
なので、核医学という分野でよく使われます。
ベータ線は3種類
続いてβ線です。
不安定な物質と先ほど説明しましたが、
不安定な物質がすべてγ線を出すわけではなく、
別なものを放出する種類があります。
その一つがβ壊変と言われます。
β壊変を説明するには原子核の説明が必要です。
原子は、陽子と中性子で構成される原子核と、
その軌道を回る軌道電子で構成されています。
元素記号の周期表で、
水兵リーベと覚えた方も多いと思いますが、
水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウムといって、
20番目のカルシウムまで覚えた方も多いと思います。
それって何が違うかわかりますか?
そこで出てくるのが原子核です。
電子はひとまず置いておいて、
原子核を構成する陽子の数で元素の種類が決まっているのです。
どういうことかというと、
水素は陽子が1つ。
ヘリウムは陽子が2つ。
リチウムは陽子が3つ。
といって、
カルシウムは陽子が20個入っているのです。
数年前にニホニウムという元素が命名されましたが、
それに至っては陽子が113個も入っているのです。
ちょっとそれましたが、
陽子の数が一緒で、中性子の数が違うものを同位体といいます。
水素で言うと、1H、2H、3Hと、陽子と中性子の数を足した数字が、
元素記号の左上に記載されます。
つまり、水素は水素でも、中性子が0個のものと、
中性子が1個のものと、中性子が2個のものがあるわけです。
そして、陽子の数が同じ、陽子の数は原子番号といいますが、
原子番号が同じで、陽子と中性子の数を足したものの数が違うもの、
先ほどでいう、左上の数字が違うものを同位体といいます。
すなわち、1H、2H、3Hは同位体です。
しかし、これら3つとも同じ水素というわけではなく、
このうち3Hだけは、中の中性子が電子を出して陽子に変わります。
β線の正体はこの電子です。
これをβ壊変といいます。
ただ、ここで話は終わりません。
実はこれはβ壊変の一個のβ-壊変で、
β壊変には残り二つあります。
一つはβ+壊変。
これは、β-とは逆に陽子が、中性子と陽電子というものに分かれます。
陽子のプラスの電荷を持った、質量は電子と同じものである
陽電子というものになります。
これはポジトロンと呼びます。PET検査で使われるものです。
あと一つはEC壊変。
軌道電子捕獲と言われます。
これは、陽子が電子を取り込んで、中性子になります。
陽子と電子の電荷がプラスマイナスゼロで中性子です。
このようにβ壊変には3種類があります。
アルファ線
そして、α線。
α壊変は、陽子と中性子が2個ずつ放出されます。
これは、質量数4原子番号2の原子核、つまり4Heの原子核というものを放出します。
α線は質量数、原子番号ともに高い放射性同位元素から放出される傾向があります。